2023/03/24 10:05



近年よく耳にする"転売"について、思うことを記したいと思います。


あらゆるものが転売の対象となっている現代ですが、当店でお取り扱いさせていただいているやちむんや民具などの作家ものに焦点をあてて私なりに記します。


作家ものは同じジャンルであったとしても、作家さんによって違ったものになります。


作家さんの好みや想いはそれぞれであって、そしてそれを具現化しようとする技術や表現方法もそれぞれだからです。


例えば生物を模して表現しようとする際、図鑑を見たり実際にその生物を観察したりするところから始める作家さんがいらっしゃいます。


逆にあえて参考資料を見ず、自分のイメージの中で作り上げようとする作家さんもいらっしゃいます。


作品には作家さんの性格や好み、表現が目に見える形として現れるので、作家さんそのものだといえると思います。



それらが転売の対象となり、ネット上で高値で販売されているのをよく目にします。


昨今フリマアプリが当たり前に使われるようになったことも背景にあるかもしれません。


持ち主にとって不要になったことが理由であるならば、新たな持ち主にいくことをもちろん私も望みます。


しかしながら、明らかな転売のケースが圧倒的に多いと感じます。


言葉巧みに断捨離を装っているが新作を転売しているケース、堂々とSHOPのようにふるまっているケースなど様々ですが、いずれにせよ転売は転売です。


作家さんご自身や小売店の売値から、明らかに吊り上げられている場合がほとんどです。


説明文に「レアです」と書かれているものも目にしますが、転売屋の存在も作品がレアになる一因だと思います。


特に悪質だと感じるのは、やちむん市や直販で作家さんご本人から安く購入したものを転売しているケースです。


作家さんご本人が販売する際はお値引きをされていることが多く、その際に転売屋が大量に購入していることが多いように思います。


やちむん市などの直後に大量に出品されているのを目にすると、非常に心が痛みます。


作家さんご本人がお安く提供されているのは、転売屋のためではありません。


実際に使って喜んで欲しいと思っているからです。


普段は製作活動に力を注いでいるため、イベントなどで直接お客様にお会いするのを楽しみにしているからです。


それを踏みにじるようなことは、本当にやめて欲しいと思います。


小売店と転売屋は同じようなものだと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、小売店は作家さんご本人からの了承がなければそもそも仕入れができません。


転売屋は正規の仕入れではないために作家さんのご意志とは関係なく販売しますし、価格も吊り上げます。


そして、このような転売屋から購入することも同罪だと思います。


転売屋から購入する方がいるから、転売屋は成り立つのです。


正規ではオンライン販売がないものを扱う転売屋がいれば、人気が出ることでしょう。


重ねて言うと、そうすることで正規の小売店が姿を消していくことに繋がります。


まずは売る側ですが、買う側のモラルも問われると思います。


当店は個人で細々と営む小売店の立場ではありますが、作家さんにもお客様にも敬意をもって接したいと思っています。


どうしても手に入れたいと思うお気持ちは悪いことではありません。


ただ、今一度どこから買うのかについてお考えいただけたらと思うのです。